外国人留学生の就職率100%を目指して

日本はアジアで最も人気ある留学先として評価され、世界中から優秀な人材が集まっているにもかかわらず、そのうちの30%程度しかグローバル人材として活用できていません。大学などの教育機関が門戸をひろげ、外国人留学生の募集と育成に力を入れている一方、「就職」という出口戦略が不十分であるために高度外国人材がもたらす大きな価値を日本は逃し続けています。

日本国内の少子化により日本人学生数が減少する現在、外国人留学生の安定的な確保が日本の大学・専門学校経営の重要な課題となり、学校の社会的評価にも直結する時代になりました。

また、大学・専門学校の意義の一つに「日本の将来の成長に寄与する人材の育成」がありますが、まさにこれからのグローバル時代、少子高齢化時代に於いては、外国人留学生の育成を通し、日本の成長・発展へ貢献する外国人材輩出は大切な使命だと思います。

外国人留学生に社会・企業で役立つ、実践的な知識とスキルを授け、社会に送り出す。このサイクルを創り出すことが学校の価値と意義を引き上げることは間違いありません(もちろん基礎研究も大切です)。

そのためには、「就職に強い学校」という評判は有効な宣伝の一つであると同時に本質でもあると考えます。特に「就職に強い学校」という評判は、日本人が考えている以上に新興国の外国人留学生にとって非常に大きなインパクトがあり、入学を決める上で重要なキーワードなのです。

 2008年に文部科学省ほか関係省庁(外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)は『留学生30万人計画』を策定しました。

この計画は、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界の間のヒト・モノ・カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指すものです。

このため、日本留学への関心を呼び起こす動機づけや情報提供から、入試・入学・入国の入り口の改善、大学等の教育機関や社会における受入れ体制の整備、卒業・修了後の就職支援等に至る幅広い施策を、上記関係省庁において連携しながら進めていこうというものですが、正直、現在のペース、環境だと達成は楽観的ではありません。

ちなみに、2015年度の外国人留学生数は、208,379人(対前年比24,224(13.2%)増)であり、留学生数の多い国(地域)は中華人民共和国(94,111人)、ベトナ(38,882人)、ネパール(16,250人)でした。うち、高等教育機関に在籍する外国人学生数は152,062人、日本語教育機関に在籍する外国人留学生数は56,317人です。

『留学生30万人計画』の方策の項目は下記の通りです。

1)日本留学への誘い日本留学の動機づけとワンストップサービスの展開

2)入試・入学・入国の入り口の改善日本留学の円滑化

3)大学等のグローバル化の推進魅力ある大学づくり

4)受入れ環境づくり安心して勉学に専念できる環境への取組

5)卒業・修了後の社会の受入れの推進社会のグローバル化

 上記方策の中でも、5番目の出口戦略(要は就職)は、この計画を達成させるために最も重要であるにもかかわらず、最も好転していないのが現状です。

 現在の外国人留学生全体の就職率は、たった30%です。この数字は他のOECD加盟国に比べ非常に低い数字です。母国の文化、慣習を知り、言葉を話せ、貴重な人脈を持ち、且つ自分たちの国の言葉や文化を理解している外国人留学生は、他の先進国においては宝という認識です。

翻って、日本では毎年約4万人(日本で就職を希望する外国人留学生は約70%)の外国人留学生が卒業しますが、就職できる外国人留学生は僅か1万人です。残りの学生は在留資格の関係上基本帰国しか道はありません。

 せっかく日本に興味を持ち、将来の希望を持って来日し、2年間日本語学校に通い、苦労しながら日本語を習得し大学や専門学校に入学し、2~4年勉学に励み、その間にかかる学費と生活費は借金と苦労しながらのアルバイトで賄い結果、就職が出来ないという現実。

 或る高名な大学理事長は「正直、外国人留学生を増やさない方が日本の為だ。これ以上反日感情持つ留学生を増やすべきではない」と、現在の外国人留学生に対する日本企業の採用姿勢に皮肉を込めておっしゃっていたのが印象的です。

 外国人留学生の就活課題は改めて具体的に述べたいと思いますが、現状の「郷に入っては郷に従え」的な、日本人と同じ採用方法で本当に良いのか。本質的な人間力、ビジネス能力、意欲、異文化(異質)ゆえの強みなどにもう少し光を当てて行かなければ、いずれ日本の学校、企業への魅力は失われて行くのではないかと危惧しています(観光や文化、製品への魅力は逆に増していますが・・・)。

 この20年で、日本は1千万人以上の15歳~65歳未満までの生産人口が失われました。今後このスピードは更に増していきます。これからの日本の未来は有能な意欲のある外国人なしでは描けません。今こそ、日本はビジネス、アート、スポーツの分野だけでなく、採用においても「グローバル」「多様性」「異文化理解」における再定義が必要だと痛感しています。

※文中の数字(データ)については出典によって変動がありますので、あくまで参考として拝読いただければ幸いです。

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中村 拓海

中村 拓海

株式会社Sociarise代表取締役社長
留学生専門キャリアアドバイザー。

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